和倉温泉 加賀屋

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おもてなし

加賀屋の先代女将 小田孝が心を語る「元気でやってるかい」

11.何が何でも一流旅館に…。

一番おぞい旅館の女将が
一番後に迎えにきて
と叱られて…

加賀屋の料理イメージ

味のおもてなし

【珍味】
栄螺糀漬

何もわからなかった私も、失敗を重ねながら、少しずつ一人前になっていったわけですが、ふり返って見ますと、いろんな人が蔭となり陽なたとなって、私をかばい、教えてくださったからこそ、今日があるとつくづく思っております。

その中でも、一番印象に残り、一生忘れられないだけでなく、その後の私の心の『芯』のようになったことが、昭和十六年に起りました。

七尾にあるニッサン肥料という一流の会社のお取り引き先や幹部の方などが、大勢さんで和倉にお越しになられることになり、加賀屋を入れて四軒の旅館での分宿が決まりました。その頃は、七尾まで汽車で来て、七尾の港から船に乗り、湾内を遊覧してから、和倉港に着くというのが、大体のコースになっていました。各旅館では、お客さんが船着き場に着く頃に、波止場までお迎えに出かけるのです。

その日も私は、いつものようにお迎えに行きましたところ、他の旅館の方もいらっしゃらなく、船影も見えないものですから「少し早過ぎたのかしら」と、一旦引き返し、子供に乳を与えているうちに、そのまま眠ってしまったのです。その時はよっぽど疲れていたのか、気がついた時には、船はもう着いてしまった後でした。髪もほぐれたまま、帯もどうしたのか忘れるぐらいに、波止場へ走って行きましたが、お客様に「一番おぞい旅館の女将が一番後に迎えにくるとは何事だ」と、皆の前でものすごい剣幕でどなられました。

もっとものことであり、平謝りに謝って、旅館の方へ案内し、お部屋に入っていただきました。ところが、当時、煙草を吸われる方もそう多くない頃でしたのに、灰皿に吸いがらが残っていたのです。「こんな悪い部屋しかないもんが、一番遅くに迎えに来て、その上、掃除も行き届いとらん、こんな旅館に泊れるか…」と、再びこっぴどく叱られました。

大失敗が、私の頑張りの
出発点となりました

確かに部屋もよくありませんし、すべてが上客を迎えるのに値しない旅館でした。情けない、何ともいえない気持ちで、部屋から出てきて一人になると、ドッと涙があふれ出ました。

この失敗を補うには、あとは料理しかないと、めいっぱいといっていいほどの料理でもてなしました。翌朝、帰り間際に、「あんなに料理を出されたって、食べきれるもんでない」と、文句をいわれましたが、幾分か、心も柔らいでいてくれたようでした。あとで、うちに泊られたその方は、ニッサン肥料の社長さんだと聞かされ、冷や汗が出る思いでした。

「これからは、ふんばって、何が何でも一流の旅館にならなければ―。そして、来てくださるお客さん一人残らずに、ちゃんと、お出迎えとお見送りをしなければ……」と、この一件の出来事が、私の頑張りの出発点となったのです。疲れて手抜きをしたくなったこともありました。「これでいいや」と弱気になることもありました。その度に、この日のことを思い出し、私自身を奮い立たせてきたのです。

戦後、そこそこの体裁をなした頃、再びお泊りいただき、帰り際に、「立派になったね」と言われた時は嬉しくて、嬉しくて、「これもすべて、あの日の教訓のおかげです」と、涙しました。人の縁と申しますか、その方々には今も親しくご愛顧いただいております。

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